おいしい葡萄の旅 札幌ドーム vol.1

まさにこの日を待ちわびて日々を過ごしていたわけで。
友人Sが2日分のチケットを手配してくれ、わたしは車で毎日「葡萄」を聴き込み、セットリストも事前に確認してしまったがゆえ予習にも忙しく、でもそれは徐々に盛り上げていくという自分の未知なる部分でもあり(まさか自分にこんなにハマれるものができるとはツユにも思っていなかった)、それはなんていうか心の充実とでもいいましょうか、兎にも角にも自分でも周りからみてもちょっとおかしく思えるほど、「おいしい葡萄の旅」を楽しみにしていた。

それは1人ではこうはならなかったことは歴然で、同じ度合でハマれた友人Sがいたからこそ、ぐおーー!っとテンションがUPしたのは明らかで。相乗効果?そういう言葉でいいの?まあ一緒にハマれる人がいると、エスカレートしていくという法則は見事実証された。軍ちゃん’Sを見ても、実証。

今回はその友人S宅にお泊りさせてもらう予定だったので、事前にLINEなどで連絡を 取り合っていたのだけど、彼女の腰痛が徐々に悪化していき、6月5日金曜日、LIVEの前日には連絡がとれなくなり、他の友人から「入院した!」と連絡が入ったのは、金曜日の残業中だった。えらいこっちゃ、えらいこっちゃ!

最近の彼女のSASに対する思い入れは目を見張るものがあり、あの友人Sがここまで…!と正直びっくりするほどののめり込みようで、そのパワーに引き込まれてわたしもここまで育てていただきました的な部分もあって。その友人Sとみる「おいしい葡萄の旅」だからこそ意味があったし、LIVE後の興奮を共有するという1粒で2度おいしい感じをとても楽しみにしてたのに。

入院。THE入院。

目の前が真っ暗になった。大丈夫、お金さえ払えばホテルは取れる。
チケットだってなんとかなる。
でも友人S~!あなたがいなけりゃ始まらないんだってば!
あなたがいてこそわたしの「おいしい葡萄の旅」は始まるし、終わるんだよ!
そのあなたが行けないとなると、LIVE後の高揚感を誰と分かち合えばいいんだよ…。

札幌の友人たちがいろいろ情報を集めてくれて、しかも共通の友人Kが「うちに泊まりなよ!」って言ってくれた。しかもありがたいことに、札幌ドームから徒歩15分ぐらいに家があり、そこはわたくし大いに甘えることにした。

それにしても友人Sを自分に置き換えたとき、SASのLIVEに行けないことも悲しいけれど、どちらかといえばそうやってみんなの助けを借りなくてはいけないことに自責するだろうなぁと思うし、友人Sのことだからいろいろ考えすぎてきっと泣いてるだろうなぁと思うと、わたしの気持ちもどんどん悲しくなってゆくのだった。

残業を終え(22:00過ぎてた)、車に乗りこんだ。
車にはもちろん「葡萄」が流れていて、なんか寂しくなってまた泣きそうになったんだけど、桑田さんが「だから勝負、勝負、勝負出ろ!勝負に行こう!カラダ勝負、勝負、勝負、勝負出ろ!止まない雨はないさ!」って歌っててさ、なんていうかこう、めっちゃ明るい曲調なのに、沁みたっていうかさ。これ今年の3月、人生の岐路に立たされたときにもコレをきいて、背中ぽんと押された気がして(結局踏みとどまってるけど)そういうPOWERを持った曲だなって思ったんだよね。友人Sのことを思って、またしても泣けた。アロエって弱ってるときに奮い立つな。そういう力を持ってる。

次の日、不安な気持ちのままJRに乗り込み、とりあえずは札幌を目指すことにした。友人Sが行けない場合は友人Kが参戦してくれることとなった。列車で移動中、いろいろやりとりしたせいで、バッテリーが少なくなったため、充電するためにスマホをバッグにしまった。少し本を読んで、スマホをバッグから取り出したら。

「先生行っておいでって!」

から始まる応酬が15件も入ってた。
わたくし滂沱の涙。通路はさんだ隣のひとたちが可哀そうな目でわたしをみてた。
失恋傷心ひとり旅じゃないんだよ!うれし涙なんだよ!
たまたま友人Sの職場でとったチケットが1枚余っていて、友人SにSASを見せるために友人Sを送り迎えしてくれて札幌ドームまで連れてきてくれるというのだ。男手もあるし、いろいろ安心だということで、松葉づえの友人Sをみんなが支えてくれることになった。一緒にみるとかもうどうでもいい。一目だけでも桑田さんに会わせてあげたかったし、こんなに楽しみにしてた彼女に声だけでも聴かせてあげたかった。

それにしても先生GOOD JOB!

本当に奇跡のようだった。
入院した日より痛みが緩和されてたこともひとつだし、すべてがLIVEに行けと神さまが言ってくれた気がして、なんかわたしもひどい顔で札幌到着。
LIVEのはなし、1個もないじゃねーかってことだけども、今回のLIVEはこれを含めての「おいしい葡萄の旅」だったので、外すわけにはいかなかったのでどうかご容赦くださいな。つづく。